ガソリン車と電気自動車のエネルギー効率


先日、9歳の息子から、『電気自動車って環境に良いって言うけど、電気は石油から作ってるから同じなんじゃないの?』と聞かれた。

私はそのとき持っている知識から、『発電所は確かに石油を燃やして電気を作っているけど、車のエンジンより、無駄にするエネルギーが少ないらしいよ。車の場合は、燃料が燃え切らなかったり、熱もマフラーから捨てちゃっているけど、工夫してるらしいよ。』と答えた。

なるほどということで終わったけど、記憶で答えたため、本当にそうなのか、そうであってもどれくらいの差があるのかを調べてみた。

せっかく調べたので資料化すれば息子だけじゃなくて5歳の娘にも少しは分かりやすいんじゃないかと思い、資料化した。

そして、せっかく資料化したのであれば、他の人にも使ってもらったほうがいいかなと思い、ここに書いておきます。

(この資料や画像は好きに使って大丈夫です。)

ガソリン車と電気自動車のエネルギー効率v1
ガソリン車と電気自動車のエネルギー効率v1

ダウンロード:ガソリン車と電気自動車のエネルギー効率v1(PDF)

 

 基にしたデータソース

せっかく調べるなら信用のおけるデータソースがいいと思い、たどり着いたのは以下のサイト

経産省 JHFC 総合効率検討結果 報告書 平成18年3月

上記のJHFCとは経産省の実証実験プロジェクトで、地球のためにというビジョンを掲げ、水素・燃料電池に関する研究を行っているもの。

ここでは、以下のエネルギーについて検討されている。

エネルギーパス
  • Well-to-Tank (採掘から精製、輸送、貯蔵、充填まで)
  • Well-to-Wheel(採掘から車の動力まで)
一次燃料
  • 原油
  • 天然ガス
  • 原子力
  • 再生可能エネルギー
  • バイオマス
評価対象車種
  • 内燃機関車(ガソリン・ディーゼル)
  • 内燃機関ハイブリッド車(ガソリン・ディーゼル)
  • 電気自動車(ニッケル水素電池)
  • 燃料電池車(水素)
  • 燃料電池ハイブリッド車(水素・ニッケル水素電池)

今回のまとめた対象

今回、できるだけ簡素化しなければ子どもたちに分かりにくいと考え、対象は以下とした。

エネルギーパス
  • Well-to-Tank (採掘から精製、輸送、貯蔵、充填まで)
  • Well-to-Wheel(採掘から車の動力まで)
一次燃料
  • 原油
評価対象車種
  • 内燃機関車(ガソリン・ディーゼル)
  • 電気自動車(ニッケル水素電池)

調査結果

調査というか、ただ報告書から情報を抜き出してまとめただけではあるが、以下の結果となり、EVが圧倒的なエネルギーの総合効率を持っていることが分かった。

  • ガソリン車:14.3km/原油1L
  • EV:27.3km/原油1L

ここで言うエネルギー総合効率とは、ガソリン車であれば油井・油田からの原油採掘からタンカー輸送、貯蔵、精製、国内輸送、貯蔵、給油などの途中工程で失われる、または別途必要とされるエネルギーを差し引き、車自体のエネルギー効率を最終的にかけたものである。

また、EVであれば石油火力発電や電力送配電などの効率を鑑みているものである。

途中工程で失われる、または別途必要とされるエネルギーとは、例えばタンカー輸送工程の航海や停泊時に必要とされるエネルギーや、石油火力発電所の建設に必要とされたエネルギーなども含まれている。

考察

ガソリンエンジン車の場合、ガソリン給油までの効率は83.2%と高いが、最終工程である走行でのロスが大きく、EVに大きく差を付けられている。

EVの場合は火力発電工程単体で37.2%という低い効率となっているが、最終工程の走行で挽回している。

今回のまとめではEVの充電に全て石油火力発電の電力を用いたとして計算しているが、よりクリーンな水力や原子力、再生可能エネルギーを実際は用いているため、それを鑑みるとCO2排出量は更に優秀な結果となる。

一方で、ガソリンエンジン車は原油を用いる以外の方法は無い。

また、石油火力発電の効率を37.2%としているが、今後、コンバインドサイクル発電などの高効率発電施設が増えることで、更にEVの優位性が高まると、個人的には考えている。

 

以上

 

 


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